「職場の女性部下が扱いづらい」と感じる要因と対策
女性が多い職場安定化&活性化コンサルタント玉居子です。
私の元にはお仕事柄、全国各地から「女性部下が扱いづらい」というというご相談をいただきます。
特に多いのが、「企業の管理職以上の男性」です。
最初は女性部下と良好な関係を築いていたのにだんだんと崩れていき、日を追うごとに女性部下の態度が冷たくなっていって、いつの間にか接しづらくなっている…
なんてことに陥っている方が非常に増えています。
その他、最初から女性部下との接し方がわからず苦手意識があり、一生懸命関係構築をしようと取り組むも、裏目に出てしまう。
結果として、より一層苦手意識が強くなっている…なんてことはありませんか?
女性部下との接し方を間違えて、パワハラやセクハラまがいと捉えられてしまう…なんて状態を経験している方も少なくないと思います。
Contents
なぜ、女性部下が扱いづらくなってしまうのか?
ではなぜ女性部下が扱いづらくなってしまったのか?
一言でいうと女性部下のニーズの把握不足とニーズへの対応が不適切だからです。
「女性部下が扱いにくい!」と思っている方の大半は、男性的主観で女性を捉えるから女性が求めるニーズとズレが生じるのです。
例えば、女性は男性に相談をするときに解決策を求めるのではなく、聞いてほしいだけ。という場合が多くあります。
聞いてほしいだけといっていますが、その背景にはどんなニーズがあるのか考えたことはありますか?
この質問を投げかけたときに「よくわからない」や「女性ってそんなもんでしょ。特に理由はない」などと回答する人が少なからずいます。
また聞いてほしいというニーズの背景に関して「共感」や「承認」があげられます。確かに「共感」や「承認」のニーズは基本的で重要だと考えます。
この「共感」や「承認」も重要ではあるものの、もっと奥深くにあるニーズに意識を向ける必要があります。女性の求めるニーズは男性よりも細分化されているからです。
例えば
- 洋服の色・形状・点数
- 宝飾品
- バッグ
- 靴
- 髪
- メイク
- ネイル
- 香水
など女性の細分化されたニーズに対応したアイテムが市場には多数あります。
女性の細分化されたニーズに耐えるには種類や量が必要になるわけです。
これは女性のほうが、美のニーズが高いからという理由もありますが、女性のニーズは男性と比べてはるかに細かく、奥深いということです。
この中で自分の感覚にあったニーズとそれを満たすための行動を読み解くのは非常に困難です。
しかし私の経験上、女性を理解しようとせずに部下と良好な信頼関係を築けている方はほとんどいません。
かくいう私も保育園経営者時代、職員からパワハラ大王と言われていた時代がありました。当時の私は「いいから黙って俺のいうことを聞いてばいいんだ。」という姿勢で接していました。
当然、女性から信頼を得るのにはほど遠い状況。女性が多い職場にも関わらず女性のニーズについて深く考えたことはありませんでした。
「共感」「承認」すれば良いのか?
先ほど「共感」「承認」のニーズが基本的で重要と書きましたが、このニーズを満たす行動は信頼を得るのに非常に有効です。ではこの2つのニーズを満たす具体的な行動として何が必要でしょうか?
この質問をすると「ほめればいい」や「話を聞く」という回答が多いです。
「では具体的にどう褒めるのか?どう話を聞くのか?」考えたことはありますか?
おそらく「なんとなくやっている」という方が多いのではないでしょうか。
中には女性の感覚に寄り添った対応をしている方もいるでしょうが、ほとんどは不適切な対応になってしまっています。
この「なんとなく女性に寄り添ったつもりでやっている」というのが非常に危険なのです。
本や動画などで聞きかじった内容で対応をしている方もいますが、それは「生兵法」であり、むしろ全くわからないなら何もしていないほうがマシです。
対応の間違いが重なった結果、女性部下の態度が冷たくなっています。それが「思い当たる節がない」というのなら、それは女性のことを全く理解できていないということなのです。
女性部下からしたらあなたが「扱いづらい上司」認定されているかも
あなたが女性部下のことを「扱いづらい」と思っているかもしれませんが、実はあなた自身が「扱いづらい上司認定」をされている可能性があります。
扱いづらい上司と嫌われる上司は似ていて異なるものです。
扱いづらい上司と思われている方は「私は女性への対応ができている」感が漂っています。
女性側もそれを敏感に察知して、めんどくさいやつ認定になっている状態です。先ほどお話した中途半端な知識を入れ、「生兵法」で対応を積み重ねた結果、女性からの信頼が徐々に失われていくのです。
信頼が失われれば態度も冷たくなっていくだけでなく、最終的には関わりをもちたくない相手として認定されていきます。
女性は特に周りの空気を読みます。男性が多い職場では露骨に態度に出さなくても、女性が多い職場ではストレートな感情が如実に現れます。
その態度を見て、女性の部下は「扱いづらい」と思っているかもしれませんが、それは女性の部下があなたを「扱いづらい」と思っているのです。
なのでまずはあなた自身が「扱いづらい上司」認定をされないような取り組みをする必要があります。
【実例】男性上司が女性部下から嫌われるNG言動・行動パターン
私自身が女性部下から嫌われていった要因は複数ありますが、その中でも陥りがちなNG言動・行動パターンをいくつかご紹介します。
嫌われる要因①:生理的要因
あなた自身外見・雰囲気が整っていないために女性部下から冷たくされている可能性があります。
女性は減点方式で相手を評価します。
初期の段階が一番あなたに対する点数が高く、日々のかかわりの中で、評価が下がっている可能性があります。特に外見・雰囲気は「女性が求める清潔感」を整えていないと男性視点での清潔感があっても生理的に無理になっていく可能性があります。
嫌われる要因②:会話に結論や要約をもとめる
日常のコミュニケーションで評価が下がっている可能性があります。
例えば女性の話を聞くときの姿勢などが例挙げられます。以下のような行動をとったりして反応が微妙になった経験とかはありませんか?
女性の会話へのニーズとして話を結論から求める。
「一言でいうと何が言いたいの?」「端的に話をまとめて」まとめりのない話を要約させようとして会話をコンパクトにしようとしていませんか?
女性の会話への重要なニーズとして「共感」「発散」というものがあります。
仕事上の会話でもそれはあてはまります。仕事の報告や提案は端的にしてほしいという男性側のニーズもわかりますが、女性は会話を「共感」「発散」のニーズを満たしながら受けとめてほしいと考えています。
なので上記のような行動・言動は重要なニーズを満たす阻害要因になり、そのような行動をとり続ける人に対して不信感をつのらせていきます。
嫌われる要因③:批評的態度
女性部下と向き合う態度が批評的・批判的になっていませんか?
女性部下が雑談や相談を持ち掛けたときに「へぇー」「だから何」「今忙しいから」みたいな雰囲気を出して向き合うことを拒むようなニュアンスの態度はとってしまうと一気に評価が下がります。
女性のニーズには「共感」「承認」がありますが、このような態度の積み重ねは女性が不信感を募らせます。
これらはあくまでも一例ですが、これらの行動に共通することは「女性への共感的姿勢が乏しい(真摯に聞く気がない)」ということです。
女性部下とのコミュニケーションの取り方
女性の部下と上手くコミュニケーションに大切なのは「共感的姿勢」です。
「共感的姿勢」は女性部下との良好なコミュニケーションを生み、信頼関係構築に大きな効果を果たします。
共感的姿勢とは?
「共感的姿勢」とは、「相手の関心事や価値観に興味を示し、それをありのまま受けとめる態度・行動」と定義しています。
字面を読むとわかりづらい感じですが、要は相手の話を批判したり、評価したり、解釈したり、アドバイスしたりせずまずは受けとめる意識をもつことです。
例えば、女性部下から何か仕事の相談を持ち掛けられたときにでまずは「受けとめる」を優先するのです。
女性部下の話に対して、「そうなんだね」という言葉で会話を受けとめます。
この「そうなんだね」は、「あなたの価値観や共有したい感情はそういうものなんだね」という意味合いが込められています。
相手の話を自己都合の解釈を付け加えずに、まっすぐ受けとめるのです。
野球のピッチャーで例えると、相手がストレートのボールを投げたらそのまま真っすぐに受け止めるということ。
ここでもし、キャッチャーが勝手に「カットボール」や「シュート」や「スライダー」などと勝手に球種を変えて判断していたらピッチャーはどう思うでしょうか?
おそらくピッチャーは、キャッチャーに対して不信感を募らせるでしょう。
女性部下との会話のコミュニケーションも同じです。
まずはどのような話でも「そうなんだね」と受けとめる。
そして相手がどういう感情を共有したくて、どのようなニーズを満たしたいのかに意識を向けながら話を聴く姿勢が求められます。
「受けとめる」の意識で話を聴き、相手の感情やニーズに意識を向けながら話をしていきます。
その中で、受けとめて欲しい感情やニーズが把握できたら、そこで初めて話を聴くか?それとも具体的な解決策を提案するのか?など自分なりの対応をしていきます。
基本的に男性はいきなり解決策や結論を求めがちです。
自分自身の意見の押しつけではなく、女性部下の意見に共感を示しながら、話を展開しやわらかく収束に持っていく対応を意識してみましょう。